読書随所浄土

第3回 末は博士か大臣か

祖父菊池寛は、一高(現東大の教養学部)の卒業2~3か月前に友達の罪を被って放校になった。冤罪のマント事件である。
そして彼は、京都大学の文科に入った。
「京都に於ける私の生活は、殆ど孤独であったと云ってもよい。クラスの人にも友達と云うべきものはなかった。ただ、中学時代の友人で綾部健太郎と云う男がいたが、その男が偶然京都の法科に来ていた。」
綾部健太郎氏は長じて、第2次池田内閣の運輸大臣になった人である。二人は、同郷であった。
「私は、京都で久し振りに、綾部と逢ったとき将棋を指した。ところが、私の方が頗る不利である。(中略)それから、出町橋の東詰の佐野春松と言う床屋の主人に教えて貰った。そして間もなく綾部に勝つことが出来るようになった。」(ちくま文庫『菊池寛半自叙伝』)
映画では、フランキー堺が菊池寛に扮し、船越英二が綾部健太郎を演じている。また、テレビドラマでは、小山田宗徳が菊池寛役をしていた。最近では、西田敏行も菊池寛役を演じていた。

写真提供:菊池寛記念館