読書随所浄土

第5回 友人

手前の人力に乗っているのが『宮本武蔵』の著者吉川英治さん、後ろが祖父菊池寛である。この写真には、高松の菊池寛記念館の学芸員だろうか「吉川英治と(従軍)」とある。
吉川英治と菊池寛との絆は、両者の競馬好きからきているのだろう!ふたりで所有した馬に自分たちの名をつけたエイカンやキクヨシ、またふたりの間で共同馬主の覚書もある。
「覚書/呼馬。トキノフルヒ。トキノメグミ。/抽馬。中山十七春新抽、根岸同新抽/右は、貴殿と小生との共有なることを/證す。/菊池寛/吉川英治様」
ただ、従軍とあるから競馬場に向かったのではなかろう。
昭和17年11月に新京特別市敷島区羽衣町4の28に設立した満州文藝春秋社に行く時だったかどうか?私は、3~4歳のころ母と目白駅から自宅の雑司ヶ谷まで人力車に乗ったことがある。今のような浅草観光用の人力ではない!昔のタクシーなのだ。車夫は「むかし、よく大旦那様をこうして門までお乗せしましたっけ!」
私には、大旦那が祖父だとは判らなかった。老人の車夫が気の毒だった!

写真提供:菊池寛記念館